日本刀はその美しさと神秘的なオーラから、映画やアニメの小道具として用いられることも少なくありません。またオンラインゲーム「刀剣乱舞」がヒットしたように、ネット上でもその輝きを放っています。こうしてメディアでその魅力が伝えられてきた結果、今では若者にも関心を持たれるようになっています。
驚くべきことに刀剣展でも若い女性の姿が見られるようになり、噂となっている「刀剣女子」が実在することを思い知るのです。
今年、日本刀剣博物技術研究財団の協力の下「噂の刀展」が開催され、薬師寺では特別展も催されました。名刀「大倶利伽羅広光」を目当てに大勢の観客が訪れ、会場の盛況ぶりは骨董品のそれとは思えないほどでした。
春日大社国宝殿においても「伝説の名刀たち」が開催され、平安時代に制作されたと言われる「古伯耆物」を含めた国宝級の名刀が並べられました。不思議なことにいずれの会場でも目立ったのは若い女性の多さでした。
オンラインゲームに触発された女性も多いことから、刀を擬人化したキャラクターに惚れたことを契機として、刀そのものに関心を持ったのだと推察されます。
刀匠も若者に日本刀の魅力が伝わっていることを歓迎しています。
奈良県の刀匠の一人は、「鏡のように不思議な光沢を放つ刀身が女性の感性に訴えるのだろう」と話しており、一時のブームに終わらないことを期待しています。もちろん美術館や博物館、神社も現況を喜んでいます。
刀剣ばかりでなく、他の伝統工芸品にも関心を寄せてほしいと望んでのことでしょう。業界は今後も若者の動向に熱い視線を投げかけ続けるはずですが、強制ではなく、自発的に学んでもらうことが肝要です。そのためにも陰に陽に、刀剣の素晴らしさを伝える努力を怠るべきではありません。