今や国内外で高い評価を得るようになった日本刀は、市場における価格も鰻登りに上がっています。
しかしどの日本刀も高値で取引されるわけではなく、価格にはばらつきがあります。日本刀は絵画のように投機の対象と見做されることが一般化したため、価格の変動は芸術品と何ら変わりません。
昔は数千万の値が付けられた名刀が、一桁下げて取引されることも珍しくありませんし、逆に高騰することもあります。ただごく一部の国宝級の刀は下げ止まっており、ランクによって売買の相場が決まっているとも言えるのです。
購入者として第一に留意すべきは、日本刀の何を重視して手に入れるつもりなのかということです。商品の状態に関わらず、名刀と目されるものであれば何でも欲しい人もいるでしょうし、オブジェとして購入する以上は美しいものを選びたい人もいるでしょう。
予算と目的をしっかり認識した上で各刀剣の相場を学び、市場に出向くことが何よりも大切なのです。
相場の実際は古刀と新刀とで格段に異なることを先ず頭に入れておきましょう。江戸時代以降の刀剣を新刀と呼んでいます。一般的に古刀は長く反った形状を成しており、名刀なら数千万円の値が付きます。安いものでも100万円は下りません。古刀の入手を考えている方は、およそ300万円を予算に計上しなければならないと心得て下さい。
一方、新刀なら100万円前後が相場です。安いものなら50万円で済ませることもできるため、初心者には購入決心のつきやすい刀です。但し新刀の中にも有名品として数百万円の刀が紛れ込んでいますから、ご注意ください。なお現代の刀工による作品であれば10万円で手に入れられるものも存在します。