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庶民と日本刀

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日本刀が単なる武器であるのなら、武士以外の身分である皇室や庶民には縁のないものに成り下がっていたでしょう。しかし実際の日本刀は神道や日本史、日本人のマンタリテと深く繋がっており、平和な江戸時代にあっては町人とも関わりのあるものでした。特に江戸時代の初期は刀と脇差の帯刀が許されていたというのですから、驚きです。時代が下ると治安の維持が厳格化され、帯刀自体は禁止されましたが、旅行の際に携行する分には問題ありませんでした。また町年寄などは特別に帯刀を許可されました。徳川綱吉の治世下ではさらに厳格に取り締まられたものの、町人の謀反を警戒しての施策というよりは、綱吉の気まぐれだったとも言われています。いずれにしても特定の時期を除けば基本的に庶民の帯刀が認められたのは確かであり、旅行者の「道中差し」などは広く見受けられたのです。
 刀の特別な効力と表象は庶民の日常の他、相撲文化にも影響しました。相撲の歴史は大変に古く、「日本書紀」にさえ野見宿禰が相手を蹴り殺した旨が記されています。また相撲という言葉も雄略天皇の命じた文言に含まれており、現代では伝統あるスポーツと見做されているのも肯けます。この長い歴史を背負った相撲においては、二振りの刀が使用されます。一つは審判を務める行司が差しているので、テレビ等で目にした方もいらっしゃるでしょう。もう一つは横綱の「土俵入り」という儀式の際、「太刀持ち」という役を担う力士が手に持つもので、これも大相撲ファンであれば見かけたことがあるでしょう。行司の帯刀は審判の覚悟のほどを示しており、太刀持ちの帯刀は神事の浄めの意があると言われています。

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